免疫と骨の関係(がん治療)

 

東京大学の高柳 広 教授によると 骨は体を支える「骨組み」としての役割だけではなく、様々な物質を出して身体の機能のバランスを保つ

「内分泌組織」の役割も担っているらしいとのこと。

間接リュウマチは免疫の異常が手足の関節の骨に影響を及ぼし、痛みを生じさせているのですが、

骨髄には血中の免疫細胞のもとになる幹細胞がたくさんある。骨と免疫との間には浅からぬ縁があっても不思議ではない。

しかし 医学の世界では、「骨と免疫は 独立した別のもの、と 長らく考えられてきたが 見方が大きくかわりつつある」と。

認識が変わり始めたのは2000年以降。免疫が働かないマウスで骨の異常が見つかり、骨を作る細胞(骨芽細胞)のたんぱく質が免疫細胞の

働きを抑えていた。さらに驚くことに、骨の細胞が出すたんぱく質が腎臓の働きを制御し、神経細胞が枝(軸索)を伸ばす働きに関わる証拠も見つかった。

骨が肝臓など他の臓器に影響を与えているらしい。

甲状腺や すい臓のランゲルハンス島などは内分泌線と呼ばれ、多様なホルモン(タンパク質)を出して体の働きを調整する。

骨も知られざる内分泌器官であるかもしれない。

陸上に住む哺乳動物などがしっかりした骨を発達させたのは体を支えるためだ。又 骨は細胞に不可欠なカルシウムの「貯蔵庫」でもある。

カルシウムを含む海から離れるには体内にカルシウムを貯めておく場所が必要だった。

「ひょっとしたら陸上に上がった動物は新たな外敵に対抗する免疫を備える役割を骨に担わせたのかもしれない」と高柳 教授は話す。

骨がなぜそのような多様な機能を担うようになったのか 進化的な意味合いは まだ推測の域を出ないが、

骨が色々な意味で健康の基盤であることは間違いない。

                                                          2012年10月21日、日経新聞 サンデイ ニッケイ。


がん治療の最初に戻る