(NHK 漢詩紀行、監修:石川忠久・著者:牧角悦子)
①
15ページの曲江の3列目の「且」は
カツではなく、「シバラク」、です。
しかも、「且(しば)らく
看ん」と読んだほうが良いものと思われます。
又、「傷多酒」の「傷」は
酒が傷つけるとか、酒が体に悪いとか、害とかの意味ではなく、
「~し過ぎる」と云う意味です。
中国人の漢文の専門家の訳も (多すぎる酒)となっております。
即ち、「傷多」は、「多すぎる。」であり、「傷多酒」は(多すぎる酒)となります。漢詩独特の表現です。
「多きにすぐる酒の 唇に入るを」と読み下すべきです。
「莫厭-」の後には否定的な価値観の語がくるのは当然で、その訳は
「多すぎる酒が口に入ることを厭(いや)がりなさるな。=多いに飲もうです。
尚、「傷食」は 食べすぎ、食あたり、ですので 理由が付きます。
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「曲江」 二首 其の一、杜甫
この漢詩の読み
一片花飛減卻春 いっぺんの花飛びて 春を げんきゃくす
風飄萬點正愁人 風は ばんてんをひるがえして まさに人を うれえしむ
且看欲盡花経眼 しばらくみん つきんと欲する花の まなこを ふるを
莫厭傷多酒入脣 いとうなかれ 多きに すぐる酒の 唇に入るを
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この漢詩の訳
ひとひらの花びらが散っても春の気分を減らすが、
風が幾万の花びらを飛ばしていると、本当に人を悲しくさせる。
まあ暫(しばら)くは、散りゆく花を眺めていよう
そして 多いに酒を飲もう。
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